バブルの頃、銀行員といえば、彼女のご両親ウケNo. 1だった。
公務員のような信頼性、真面目で高収入。
でも銀行のイメージは、ここ20年くらいで大きく変わった。
金融ビックバンで銀行は”売る存在”へ
2000年頃 日本版『金融ビッグバン』と呼ばれる改革が行われた。
それまでの金融規制を大幅に緩和・撤廃することで、市場の活性化と国際化を目指すというものだ。
銀行・証券・保険の3業界は相互参入し、垣根が取り払われた。
その結果、
・銀行でも投資信託や保険の販売が可能に
・金融機関の”営業活動”が加速
ということが起こった。
銀行から営業電話?の衝撃
2000年当初、それらの変化はあまりわからなかった。
ところが、ある日突然、私の携帯に大手都市銀行から着信があった。
銀行から電話がかかってくるなんて、「私の銀行口座に何か不都合(ハッキングとか?)があったに違いない!」と思ってプチパニックになった。
ところが出てみると、保険の勧誘だった。
本当にびっくりした。
まさか銀行が、営業電話を掛けてくるなんて!!!
今ではそんなの普通だと思うが、私の中で当時の銀行は、お金を預けるか、借りるか、送金するかのところ。
銀行が何かを売るっていう感覚がなかった。
この瞬間、私の中での”銀行神話”は崩れた。
郵便局でも、、、かんぽ生命の不正販売事件
その後も時代と共に規制緩和がされて、金融機関の業務内容が変わっていった。
この金融機関の緩やかなイメチェンは、私たち(特にお年寄り)には分かりづらく、罪深かった。
これは郵政民営化の方の影響だが、
かんぽ生命の保険不正販売という、ひどい事件があった。
”郵便局の職員” といえば、元は公的機関だったのだから、お年寄りには絶大な信頼がある。
この信頼感を悪用してし、
・高齢者を騙して繰り返し保険を乗り換えさせ、職員が報酬を受け取る。
・被害件数は18万件。処分者3000人。
というとんでもない事が常態化していた。
かんぽ生命の組織的犯罪だ。
金融業界の不祥事は後を絶たない
大きく報道された三菱UFJ銀行の貸金庫窃盗事件。
元行員が顧客の貸金庫から金塊や現金を盗んだ事件で、被害総額は時価十数億円と言われている。
このほかにも銀行員による着服事件や、金融機関の不祥事は、大きく報道されていないものが実は沢山ある。
内部の人によれば、「小さな不祥事が起らない日はない」くらいだそうだ。
銀行員も、証券マンも、保険の営業マンも、何の疑いもなく信じきって丸投げしてはいけないってことだろう。
私の経験:預金しに行ったら勧誘
以前、私が某大手都銀に、自動積立定期預金の申込に行った時のことだ。
金利は低いけど、とりあえず現金を預金しておこうと思って、手続きのため窓口へ。
するとなぜか別の階の、仕切られたテーブルに通された。
???と思っていると、FPであるという銀行員が来て、投資信託を勧められた。
買う気は全くなかったが、一応見た。
外貨建てで、手数料がバカ高いものだった。
その時のセールストークが、「今は金利が低く預金は不利なので、この投資信託がとてもお勧め」とのことだった。
私がすぐに断ったからかもしれないが、リスクやコストについて何も説明はなかった。
投資信託は星の数ほど存在し、もちろん良いものも沢山あるのだが、「それ詐欺まがいでしょ!」っていう『ぼったくり商品』が沢山ある。
しかも保険と同じく、素人には仕組みが分かりにくい。
またこれも保険と同じく、窓口の人が勧めてくるのは、銀行に手数料がたくさん入る投資信託だ。
ということは、そこで買ったら高い手数料を払わなければならない。
しかも元本は保証されていないので、運用が失敗して、たとえ元本がゼロになっても、買った我々の『自己責任』だ。
「これはとってもいい商品なので、お勧めです」というセリフは、「手数料が高いので、我々の会社にとっていい商品です」という意味だと思った方がいいかも。
<投資信託にかかる手数料>
種類 | タイミング | 注意点 |
---|---|---|
販売手数料 | 購入時 | ノーロード(無料)の商品を選ぶ |
信託財産留保額 | 解約時 | 無料のものを選ぶ |
信託報酬 | 保有期間中ずっと | 長期で支払うのでここが最重要 |
『販売手数料』と『信託財産留保額』の支払いは1回だけ、しかも最近は無料のものが多い。
問題の『信託報酬』は、その投資信託を保有している間はずーっと支払い続けなければならないもの。
しかも勝手に利益から引き落とされてしまうので、分かりにくい。
老後資金のために投資信託を積み立てるとすると、20年30年と持ち続ける。
その間払い続けるわけだから、信託報酬が低いものを選ぶことが、とても大切だ。
一方会社は、高い信託報酬を長い期間支払い続けてくれる、いいお客さんを求めて勧誘する。
銀行、証券会社、保険会社、どこでも、”窓口”で金融商品を買うのはやめよう。
金融商品を買うなら、自分の納得したものをネットで。
金融のプロですら騙される
ちなみに世の中にはもっとひどい、いわゆる金融詐欺がある。
金融機関勤務の人が詐欺にあった話を聞いた。(ニュースにはならない)
過去に何回か聞いたことがあるのだが、映画になるようなすごいスキームの詐欺にあっているのかと思いきや、どうやらそうでもない。
「自分は金融のプロだ」という過信のせいだろうか、ものの見事にダマされている。
プロでも騙されるんだから、ましてや素人の我々は、、、。
とにかく、おいしい話が来たら、まず「怪しい!」と思うようにしよう。
リスクを抑えた投資法:3つの鉄則
結論:
つみたてNISAやiDeCoで、インデックスファンドに長期積立することが最も堅実。
① ドルコスト平均法で買値を平均化
- 毎月一定額を投資
- 高値づかみを防義、買値を平均化できる
- 感情に左右されず継続できる
② インデックスファンドを選ぶ
- 日経平均、S&P500、全世界株などに連動する
- 分散投資が簡単にできる
- 信託報酬が低く、コストが明確
③ 15年以上の長期投資で“暴落に耐える”
- 暴落=たくさん買えるチャンス
- 100年分のデータで、どの15年でもインデックスはプラスだった(アメリカでの研究)
- プロが運用するアクティブファンドより結果的に高成績なことも多い
これが簡単で、手数料が安く、成功する確率の高い、最もリスクの低い投資手法だ。
少額でも”早く”始める
投資は怖い?
確かに詐欺やぼったくり商品があるのも事実だ。
でも『正しい知識』と『リスクを抑えた手法』があれば、投資は未来の安心になる。
若い人は、時間を味方につけて、資産を形成することができる。
月1,000円からでもいいので、できるだけ早く始めることをお勧めする。