私たちが人生で手にするお金は、”有限”。
それを『生涯を通じてどのように配分するか』で、毎日の生活も将来の資産額も大きく変わってくる。
人生100年時代、4つのステージで考える
人生のステージを、25年ずつに区切って考えてみたらどうだろう。
①誕生〜25歳 : 親元で過ごす子供期
②26歳〜50歳 : 結婚、子育て期
③51歳〜75歳 : シニアライフ期
④76歳〜100歳 : 老後期
もちろん、結婚するかしないか、結婚する年齢など、人によって区切りの年齢は人それぞれだ。
ただ、結婚して子供を育てる人の場合は、このような『4ステージ』で人生が展開していくことが多いだろう。
ベストセラー「LIFE SHIFT100年時代の人生戦略」Linda Gratton/Andrew Scott著 では、今後の人生は『マルチステージ化』していくと述べられている。
これからの時代を考える上で、とてもおすすめの本だ。
昭和の時代との違い
かつての日本では、人生は3ステージで語られていた。
①子供期
②結婚子育て期
③老後期
昭和の時代には、住宅ローンを組んで家を買うことが『資産形成』だった。
日本の土地は上がり続けるという『土地神話』があり、いざという時は家を売ってお金を作るということもできた。
老後は退職金と年金をもらって、悠々自適が可能だった。
しかし時代は変わった。
・年金はいくら貰えるかわからない。
・寿命は長くなっている。
・土地神話は崩れた。
・不動産価格は、必ずしも右肩上がりではない。
これらの変化が、私たちの人生設計を根本から見直すきっかけになっていると思う。
今の時代は、『自分達で資産を形成する力』が、今まで以上に求められる時代になっている。
結婚・子育て期にこそ考えたい「資産形成」と「住まい方」
家計のスタートは結婚だ。
②結婚、子育て期
この第2ステージの過ごし方が、家族の将来を大きく左右する。
まず ”結婚したら住宅ローンを組んで家を買う” という昭和の価値観を手放してほしい。
なぜなら、今の住宅購入は資産形成ではなく、リスクの高い不動産投資だから。
しかも、同じタイミングで予測不能な子育て費用がかかる。
かなりの高給取りでない限り、『ほとんど手元にお金が残らず資産形成ができない』という事態に陥る可能性が高い。
家を買わずに、まずは「資産形成」
②の時期におすすめなのは、次の2つ。
・リスクの高い不動産投資は避ける。(賃貸住宅に住む)
・貯金と積立投資で資産を形成する。
子育て世代が住む場所を選ぶ時には、人気の公立小学校の校区で探すのも一つの手だ。
ネット上で「〇〇市 公立小学校 人気」と検索すれば、情報を得られる。
もちろん我が子に合うかどうかは、通ってみないと分からないが、人気のある小学校にはそれなりの理由がある。
もし合わなかったとしても、賃貸なら別の校区に引っ越しすれば簡単に転校できる。
このフットワークの軽さも、賃貸が子育て世代にとって大きなメリットだ。
家を買ってしまうと、その土地に縛られてしまう。
子供が不幸だと親も不幸になる。
子供の笑顔が守れる環境に、自由に移動できる選択肢を持っておきたいものだ。
積立投資で「自分たちの資産」を育てる
そして同時に『資産を形成する』。
1年分の生活費を貯金し、
idecoとつみたてNISAで、インデックスファンドを積み立てる。
例えば月2万円を、45年間積み立てたとする。(25歳から70歳まで)
5%の利回りで運用すれば、約3350万円になる。
これをその後3%で運用すると、
毎月14万円ずつ取り崩しても、29年間受け取り続けることができる。(99歳まで)
・45年間の積立額は1080万円
・税引き後利息額が2276万
・合計:3356万円
月2万円で。頑張れば何とかなりそうな額では?
ネット証券のクレカ払いにすればポイントも貯まり、半強制的に積立が習慣化する。
米国インデックスファンドなら、年5%の利回りも現実的。
夫婦で2万円ずつ積み立てれば、合計6700万円もの資産になる。
複利の効果を最大限得るためには、長期間取り崩さないことが最も大切だ。
若いということは時間があるということ。複利の恩恵に預かることができる。
60歳からでも積立はできるが、最大の効果は得られない。
住宅ローンは「負の資産形成」
一方、住宅ローンは、全く逆のことをしている。
例えば、3800万円の家を買ったとする。
3%の利息で35年返済のローンを組むと、毎月14.6万円の支払い。
総支払額は6143万円、総利息額は2343万円。
つまり、資産を増やすどころか、2300万円以上の利息を払うことになる。
もし地価が2倍になれば、投資として成り立つだろう。
今後の日本でそのようなことが起こる可能性は低い。
人口減少の日本の現状を考えれば、将来築35年の古家が、買値の倍で売れる日が来るとはとても思えない。
住宅購入は「第3ステージ」以降でじっくりと
家の購入は、教育費や養育費が落ち着いた③シニアライフ期(51歳〜75歳)になってからでも遅くはない。
この時期には、ライフスタイルも安定し、自由な選択がしやすくなる。
身軽なので、夫婦で好きなようにできる。
焦らず、家族の形にあった住まいを選べば良い。
ここから半世紀くらいあるかもしれない人生。選択は急がずに。
新しい時代に、新しい人生設計を
これからは、昭和の価値観にとらわれず、今の時代にあった「お金の使い方」「住まいの選び方」「資産形成の方法」を、人生のステージごとに考えていこう。
それが、人生100年時代を生き抜くための、新しいライフプランだ。
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